【石川県立こころの病院院長、日本公的病院精神科協会会長 北村立】
20世紀の終わりごろから全国で精神科救急医療システムの整備が進み、その旗振り役として精神科救急入院料(現精神科救急急性期医療入院料、いわゆる「スーパー救急病棟」)に高い診療報酬が設定された。これにより全国にスーパー救急病棟が整備されたが、近年地方では人口減少や高齢化に加え、地域生活支援や就労支援、訪問看護やグループホームの整備などが進んだことで精神科救急の患者が減少している。
スーパー救急病棟の整備は歴史的役割を終えたとも言え、これからは精神疾患を有する人の地域移行・地域定着に向けた重点的な支援を提供する「精神科地域包括ケア病棟」(精神科地ケア病棟)の整備が急務である。今回はそのことについて述べたい。
■民間からの参入で急増したスーパー救急
当院のある石川県では、1998年に精神科救急医療システム整備事業の実施要項を定め、当院を基幹病院とした医療提供体制が整った。それ以前は、
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